2018.03.28

首都圏の私大都心に回帰に、国は「待った」

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首都圏の私大都心に回帰
好立地で学生・教員呼ぶ 定員増狙い、国は「待った」

(2018年3月21日 日本経済新聞)

首都圏の私立大学で都心回帰の動きが強まっている。交通の便が良い東京23区内にキャンパスを移し、少子化の逆風でも学生を集めやすくする。
企業との連携や教員を確保しやすい利点もある。

一方、国は23区内に学生が集中しないように、大学による定員増を認めない方針を打ち出している。都心回帰を巡る議論は、自主経営の私立大のあり方自体を問いかけている。

「都心の方が交通の便が良く、新年度の就職活動をしやすいのだが……」。
東京都八王子市のキャンパスに通う中央大学法学部3年のある男子学生は焦りの色を隠さない。
都心なら複数のセミナーを掛け持ちするなど柔軟に動きやすい。

東京国際大学は2023年をめどに埼玉県川越市にあるキャンパスの一部を豊島区に移転する計画を立てている。
倉田信靖理事長は「川越だと教師、特に外国人教師が集まりにくい」と理由を説明する。
留学生の確保も目的の一つで、新キャンパスの定員3500人のうち2000人を留学生が占める見込みだ。

東京23区内への移転計画はほかにも桜美林大学が19年に新宿区の百人町に新キャンパスを設ける。
中央大学は「(企業勤めの)OBと交流しやすくなるなど利点がある」(酒井正三郎学長)との理由で、22年に東京都八王子市の法学部を文京区に移す予定だ。

予算配分がある国公立大学と違い、私立大にとっては学生の授業料が重要な収入源になる。
表立ってはどの大学も口を閉ざすが、多くの学生を集めて経営を安定させたい、というのが本音だ。

23区内に移転すると志願者は如実に増える。
例えば東洋大学国際地域学部は09年、群馬県の板倉町から文京区白山に移り、河合塾のデータによれば移転初年度の09年度は志願者数が前年度比で2倍近くに増えた。

大妻女子大学も埼玉県狭山市や東京都多摩市のキャンパスを千代田区に集めた効果で、社会情報学部の17年度の志願者数は15年度に比べ3倍近くに増えた。
東京理科大学も移転で志願者が増えた。

この流れに政府が待ったをかけている。
2月、安倍晋三政権は東京23区の大学の定員増を原則認めない法案を閣議決定した。
少子化の中、進学で東京に移る若者が増えると地方が活性化しなくなる、との危機感がある。

文部科学省は2月、東京23区の大学について、19年度の定員増を原則認めない告示を出した。
事前に募ったパブリックコメントは49件で、林芳正文部科学相は「明確に賛成の立場からのご意見はなかった」と明らかにした。
ただ都心部に学生が集中すれば、地方の大学は経営悪化で撤退しかねない。
林文科相は「地域間で高等教育の就学機会の格差が拡大しかねない」と懸念する。

政府の動きに桜美林大学の畑山浩昭次期学長は一定の理解を示しながらも先行きの経営への影響を懸念する。「若者に夢を与えるために、良い環境をつくりたい。
単純に規制するだけにまい進してしまうと悪影響が出る可能性もある」という。

小池百合子東京都知事も2月2日に緊急声明を出し「理不尽かつ不合理な規制であり、極めて残念」と批判した。
「大学の定員増を抑制することと、地方創生を推進することとは別の問題」とも指摘した。

私立大学の都心回帰が目立つようになったのは小泉純一郎政権下での規制緩和後だ。
産学連携や新技術の創出などを念頭に02年、大学などの都心立地を制限する工場等制限法を廃止した。
大学は都心にキャンパスを移しやすくなった。

文部科学省によると都道府県別の大学入学定員数が最も増えているのは東京都だ。
16年度は制限法廃止後の最初だった02年度に比べ1万8281人増え、増加数は2位の大阪府の2.2倍にあたる。
一方、山口県は801人、奈良県は750人、北海道は541人、それぞれ定員が減った。

都心回帰に伴う定員増と少子化を背景に、私立大学は受験生が合格しやすくなっている。
18歳人口は下がり続け、16年度は01年度比で19%減った。
一方、首都圏の主要私立大学の定員数の合計は6%増えた。
定員1人あたりの競争率を計算すると、倍率は低下傾向にある。
学生の学力の維持に懸念が生じかねない。

私立大学数は増え、学生確保の競争は激しい。
16年度は00年度から122校増え全国で600校になった。
少子化でも全国で学生を奪い合う構図が鮮明になっている。
日本私立学校振興・共済事業団によると、16年度に赤字経営だった私立大学は39%で、00年度の2倍以上の割合になった。

定員数に対する入学者数の割合をみると、私立大学の厳しい経営状態が浮かび上がる。
01年度は定員以上の学生を集めた私立大学が全体の7割超だったが、16年度は55%に低下した。定員に対し入学者数が80%未満の大学は4ポイント増え20%ある。

企業へのインターンや課外活動など、都心はチャンスが多い。
立地は学生確保の成否を左右する。一方で、河合塾の富沢弘和教育情報部長は「大学は立地だけでなく教育内容など本来の魅力を高めるべきだ」と指摘する。
例えば大分県別府市の立命館アジア太平洋大学は、地方でも学生を多く集める大学だ。

約90カ国・地域の留学生が集い、日本にいながら学生は国際感覚を養える。
00年の開校当初と比べると学生数は6倍の5500人強まで増えた。
秋田の国際教養大学も特色のある英語教育で定評がある。

都心回帰で定員を増やしたい私立大と、都心への人口流入を止めたい国。
目先の数字だけにとらわれていると、学生の学力向上や秀でた研究成果といった教育の本分がおろそかになりかねない。
手っ取り早い策に頼らず、大学の魅力をどう高めるか、国として私立大学の経営をどう安定させるのかといった本質的な議論が求められている。

(引用終わり)

いかがでしたでしょうか。

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