2018.03.20

物価負担先行のインフレと本来のインフレ

皆様こんにちは。

本日は3月20日(火)の「日本経済新聞」の記事から、下記の記事をご紹介させて頂きます。

鋼材の輸送費上げ
東京製鉄が来月、1トン1000~2000円 国内運賃の上昇転嫁

電炉大手の東京製鉄は19日、鋼材輸送の割増運賃と港湾などの倉庫保管料を4月契約分から引き上げると発表した。
国内運賃は陸上と海上でともに上昇しており、製品価格に転嫁する。
物流費の増加が鋼材価格に波及する。
併せて亜鉛高を背景に溶融亜鉛めっきコイルの値上げを表明した。
原材料や輸送のコスト増加分の上乗せを急ぐ姿勢が鮮明になってきた。

ドライバー不足が鋼材価格に波及する

割増運賃は製鉄所から遠い目的地まで輸送した際に、鋼材価格と合わせて請求する。
例えば宇都宮工場(宇都宮市)の場合、北海道や青森に運ぶと発生する。
現在、距離に応じ1トン1000~4000円を徴収している。
輸送費負担が重い一部品種で引き上げる。上げ幅は同1000~2000円が中心となる。
1トン8万円前後の鋼材の場合、2%程度の値上がりになる。
割増運賃の大幅な見直しはバブル期後初めて。

船で運んだ鋼材を港で陸揚げ後、トラックで運ぶまで一時的に保管する料金も引き上げる。
上昇幅は地域によって異なる。各港湾の倉庫に鋼材が滞留することが目立っているという。

利用料を引き上げることで、倉庫の回転を高める狙いがある。
保管時の代金は需要家が港湾荷役業者に支払う。全国の複数の荷役業者に代わり、東京製鉄が発表した。

産業資材ではセメントや木材で、輸送費の上昇を理由にした値上げが相次いでいる。
物流コストの増加が素材価格に転嫁されれば、加工メーカーなど需要家の負担がさらに高まりそうだ。

東京製鉄は原料高を受け、建築資材に使う溶融亜鉛めっきコイルの亜鉛コスト分の割増金を引き上げる。
上げ幅は1トン当たり1千円前後だ。

割増金は鋼板の厚さに応じてかかる。
薄い板は厚いものに比べ鋼材1トン当たりの亜鉛の使用量が多くなり、割増金は高くなる。
めっきに使う亜鉛の国際価格は品薄感から2月に10年半ぶりの高値をつけた。

電極や耐火物、合金鉄など電炉の資材や副原料は値上がりしている。
東京製鉄の今村清志常務は「4月から上がるものは、転嫁していかざるを得ない。
コストの見直しをできるところからやっていく」と話す。

いかがでしたでしょうか?

ここから分かることは、まず、今起こっている現実として、
「原材料費」が上がってきている、という事実。

そして、物価は確実に上がってきている、ということです。

このことは、すでに、2月28日の日経新聞でも、次のように指摘されています。

『物価はじわじわ上昇している。そう感じる生活者は増えている。
電気代や生鮮食品など節約の難しい品目での値上げが効いているようだ。負担感が先行し、賃金の伸びが物価に追いついていない面があり、これでは消費に勢いがつかない。

消費者庁の物価モニター調査をみると、生活関連物資が1年後に値上がりすると思う人の割合は年明け以降に一段と増加。2月は76%超の高水準となった。

物価上昇を予想する人の6割は「身近な商品の価格が上昇し、その傾向が続くため」とし、2%以上の大幅な値上がりを予想する声も4割ある。

明治安田生命保険の松下定泰シニアエコノミストは「統計に表れるよりも商品値上げの家計への影響度が大きく、消費の下押し圧力になっている」とみる。

足元の値上げの動きは、原油価格の上昇などに伴うコスト増を小売価格に転嫁するもの。
コストプッシュ型のインフレと呼ばれ、好景気で物がよく売れて価格が上がるのとは対照的な「悪い物価上昇」だ。』

本来、政府が理想としている「インフレ」とは、
賃金が上昇し、それに伴い「消費」が増加。

その結果、「需要」が伸びていき、物価も上がっていく、
という、需要が増えることによる「インフレ」です。

この「賃金上昇」が、非常に遅れてきたわけですが、
本日の新聞の同紙面には、ついに、
「アサヒビール 3%の賃上げ」
「ニトリHD 賃上げ2.5%」
という記事が載るようになってきました。

『アサヒビールは19日、2018年春季労使交渉でモデル賃金で月額1万230円の賃上げを実施することで労働組合と妥結した。
定期昇給と昇格昇給で賃上げする。年収ベースでは17年と同水準の3%の賃上げとなる。
継続的な賃上げによって社員の士気を高める』(日経新聞より)

『ニトリホールディングスは19日、2018年の春季労使交渉で傘下のニトリの賃上げについて、組合員平均8386円で労働組合と妥結した。
賃上げ幅は2.5%。ベースアップ(ベア)を含む賃金改善は3035円で、残りが定期昇給分となる。
ベア実施は15年連続。出店の拡大が続くなか、待遇の改善で人材の確保をめざす。』(日経新聞より)

ここから見えてくるのは、
ようやく「賃金上昇」の方向へ、
金融緩和の影響が少しずつ出始めているのかもしれない、
ということです。

今現在は、「負担先行インフレ」ということで、
別名、「悪い意味での物価上昇」、すなわち、原材料費の高騰と、人件費の高騰の影響で、コストプッシュ型インフレが起きています。

ここに、「賃金上昇」が加わってきますと、
ようやく政府が理想としている「インフレ」シナリオに少しずつ近づいてきます。

ただ、一方で、
人生には「プランB」もつきものです。

実は、政府は、この「理想的なインフレ」がうまく機能しなくても良いように、
プランBも考えています。

と言いましても、このプランBも、「デフレ」ではなく、
また別の種類の「インフレ」なのですが・・・・。

このようなトレンドになった時、最も損をするのは、どのような人々なのでしょう?

逆に、最も得をするのは、どのような人たちなでしょう?

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