2017.09.11

人口の格差と所有者のわからぬ土地

日本の総人口が減少の一途をたどっているということは、殆どの方がご存知のはずです。

特に地方ではその傾向が顕著であり、首都圏とその他の地域との間で様々な格差が生まれています。

今回、放置された登記簿に関する記事が非常に興味深かったので、ご紹介したいと思います。

~8月14日(火)日本経済新聞朝刊より引用~

総務省によると、1月時点の日本人の総人口は約1億2558万人。
5年間で約107万人(0.9%)減少した。多死社会のなか、管理の手間などから親族が死んでも相続登記されない不動産が多い。
かつて土地は価値の源泉だったが、人口減が本格化するなか、放置されたままの資産が随所に出現している。

増田寛也元総務相が座長を務める研究会は6月、「全国の土地の2割で所有者が不明」との推計をまとめている。

地方の人口減は全国の先を行く。
秋田、青森などでは5年間の減少率が4%を超える。
それだけに状況も深刻で、熊本県人吉市では、市内の墓の約4割が引き継ぐ人のいない「無縁墓」という調査結果もある。

農家に貸し付け

問題は探しても持ち主がわからない不動産だ。増田氏は「所有者不明の場合、所有者の同意がなくても貸し借りできる制度が必要」と主張する。

ヒントは静岡県東伊豆町にある。
ここに約900平方メートルの遊休農地があった。

登記簿上の所有者は約70年前に死亡。
親族も亡くなり、現在の所有者が特定できない。
13年の農地法改正で、知事が裁定を下せば、所有者不明の土地を農地中間管理機構(農地バンク)を通じて貸せるようになった。
町はこの制度を活用。
4月、隣の農家に5年間で約1万1000円で貸し付けた。

農地法の規定は農地に限られる。
宅地や商業地で同様な制度を導入するには不動産制度の抜本改革が必要になる。
「財産権の根幹を変えることになりかねず、強い抵抗が予想される」(増田氏)

国立社会保障・人口問題研究所の推計(中位)では40年の死亡者は約168万人にのぼる。
人口減が常態化し、パラダイムシフトが不可欠ななか、抵抗の強い改革こそ必要かもしれない。

~引用終わり~

いかがだったでしょうか。

旧来からの専業農家の方が所有されている農地の面積は、一般的な戸建て住居一戸の比ではないはずです。

加えて、一か所ではなく、町の中に複数の土地が散在しているところもあります。

一個人の登記された土地がこれだけ広く複雑である上に、その数が全国の土地の2割を占めているとなれば、所有者不明の土地の総面積は尋常ではありません。

そして、これは「農地」だけで起きている現象ではないということが重要です。

宅地や商業地域内にある、所有者不明の不動産は、時代の流れに合わせた身動きが取れず、その地域の発展を阻害しかねません。

不動産投資は、管理が大切とよく言われますが、登記上の人物という1点を取り上げても、その大切さがよく分かるといえます。

信頼のできる企業による管理によって、登記簿以外に安心できる点は、他に何があるでしょうか。

気になる点がございましたら、無料でご案内させて頂いておりますので、お気軽にお問合せ頂ければと思います。