2017.08.17

株取引の更なる高速化

世の中のあらゆる事象は、日を経るにつれてスピード感が増しているように感じられます。

便利になる代償として、私たちもその速度についていかなければならなくなっています。

それは殊、投資の分野に至っては顕著に表れています。

今回は、株式の高速取引に関する規制についての記事をご紹介いたします。

~2017/5/29付日本経済新聞 朝刊より引用~

1秒間に何千回もの株式売買を繰り返す高速取引に関する規制を盛り込んだ改正金融商品取引法が成立した。
高速取引を使う投資家の登録制が導入され、リスク管理体制の整備や取引記録の保存などが義務付けられる。
金融庁が実態を把握・監視しやすくする狙いだが、実効性の確保には課題も多い。
「HFTの暴走ではないか」。特段の材料なく個別株や株価指数が急変動すると、市場ではこんな声をよく耳にする。
HFTはハイ・フリークエンシー・トレードの略で高頻度取引を意味する。
近年急速に普及し、速度向上のため取引所のデータセンターに置くサーバーから発注する「コロケーション」というサービスを使う取引は、東京証券取引所の注文件数の約7割を占める。

だが実際にどんな投資家がどういう意図で取引しているのか実態は分かりにくい。
中長期の視点で売買する投資家が思うような価格で売買できなくなっているとの指摘も一部で出ていた。

そこで改正金商法では、誰が使っているのかも分からない状態の解消を狙い、高速取引に関する規制として大きく3つの柱が盛り込まれた。

1つ目は高速取引をする投資家の登録制。
適切にシステムを管理・運営できる体制が人的・財務的に整っていることを求める。
投資戦略についても申告させる。

2つ目は高速取引をする投資家への取引記録の作成と保存の義務付け。要請があれば金融庁に提供する。

3つ目は証券会社や取引所への規制だ。
無登録の投資家からの高速注文の取り次ぎを禁止し、証券会社が名義人となって代理で売買することも禁じる。
登録制により、万一不透明な取引があれば、どの業者による注文なのか調査しやすくなるという効果はありそうだ。

一方で、システムは一段と高度化している。
プログラムが自動で売買するため、悪意の存在を含めて不正を立証するハードルは高くなる。
野村総合研究所の大崎貞和主席研究員は「実際の取引で法に触れるかどうかはケース・バイ・ケースで、1つずつ事例を重ねるしかない」と指摘する。

規制の「抜け穴」を探す動きが出る可能性も残る。
実際にどんな頻度や手法で取引すれば高速取引に該当するのか、金融庁は改正法施行までに意見聴取などを進め、詳細を固めていく方針だ。
定義次第で厳しい規制となるのか抜け穴ができるのかも変わってきそうだ。

過度な規制で投資家が離散してしまうようなら市場の流動性が下がり、かえって相場の変動が大きくなる恐れもある。詳細を詰めるにあたっては丁寧な議論が必要だ。

~引用終わり~

いかがだったでしょうか。

株取引の経験がある方は、特段の材料がなく値が大きく動く、という光景はよく目にされていると思います。

それを不正取引か否かを判断して取り締まるというのは、並大抵のことではないはずです。

そもそも、記事文中でもありますように、いくら大きなリターンが期待できるとしても、
不正取引の定義があいまいな現状では、一般の投資家が仕手筋による理不尽な値動きに翻弄されるだけではないでしょうか。

ただし、保有期間や銘柄を選べば上記のような不安は解消されるでしょうし、
無形資産と並行して、不動産のようにルールが成熟した現物の資産を保有することでリスクを分散していくことが、安定した資産形成をしていくためには、
今後より一層重要であると言えるでしょう。

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