2017.06.06

退職金にまつわる話

皆様こんにちは。

今回は退職金にまつわる、知らないと損をするお話が
日本経済新聞に掲載されておりましたのでご紹介させて頂きます。

以下、抜粋させて頂きます。

退職金、全額一括に利点
~年金式は税・保険料注意~

公的年金の支給額が今年度引き下げられるなかで老後を支える役割が増しているのが定年退職金。

受け取り方法は企業によるが、まとめて一時金としてもらうか、分割して年金方式で受け取るか両者を併用するか、選べることも多い。

どのように受け取ると有利なのか。
退職金にかかる税金や社会保険料の負担に注意が必要だ。

「年金受け取りの条件はここ十数年で厳しくなった」と話すのは富国生命保険の年金数理人、中林宏信氏。

年金方式の場合会社が一定の利率で運用を続けてくれるが、かつて5%台が多かった運用利率は最近は大手企業でも2%程度が目立つ。

終身で受け取れる例は激減し、10~15年の有期型が増えている。

60歳の誕生月以降に受け取ることが多い退職金。
図Aは、その受け取り方によって定年後10年間の総収入がどう変わるかをファイナンシャルプランナーの深田晶恵氏が試算した結果だ。

額面なら年金式

 退職金を2000万円とし受け取り方法は
(1) 全額を一時金(2)全額を期間10年の年金(運用利率2%)(3)一時金と10年年金で半額ずつ――という3つの方法から選べると想定。

(2) 退職金の他に、64歳までは再雇用により働いて給与を、65歳からは公的年金を受け取る(合計額は10年で2850万円)と仮定している。

まず、税などを引く前の額面ベースで見ると、総収入が最も大きいのは、退職金全額を年金で受け取るケース。2位は半額ずつ、3位が全額一時金となる。

再雇用収入と公的年金は共通なので、額面を左右するのは会社が退職金で確保してくれる2%の運用収益だ。

全額年金を選ぶと、元本2000万円は運用益により2210万円へ増える。
半額を年金とする場合も2100万円になる。

マイナス金利の時代、自分で運用して2%の利回りを得られるか自信がない人も多い。
額面で見ると年金で受け取るほうが有利に思える。

ところが、図Aの下にあるように、手取り額ベースで見ると、3つの順位は逆転する。

トップは全額を一時金で受け取るケースだ。2位は半額ずつ、3位が全額年金となる。

税金と社会保険料(国民健康保険料と介護保険料)の負担額に差があるためだ。
まず税金の仕組みを知ろう(図B)。一時金でもらえば所得税の計算上は「退職所得」の扱いとなる。

退職所得控除という非課税枠が勤続20年まで年40万円、それ以降は年70万円ずつ積みあがる。
大卒後60歳まで38年勤めたとすると、2060万円まで非課税だ。
超えた場合も金額を半分にして計算してくれる。

一方、退職金を年金方式で受け取ると、公的年金などと同様に「雑所得」となる。
60歳代前半は年間で70万円、後半は120万円までは公的年金等控除により非課税となるが、超えた分は課税対象だ。

試算のケースでは全額を年金でもらう場合の税負担額は全額一時金に比べて約240万円多くなる。
一時金額が非課税枠内に収まるのに対し、年金方式だと公的年金の受取額と合わせ年間の非課税枠を大幅に超え、課税され続ける。

見過ごされがちなのが社会保険料だ。
市区町村によるが一般に前年の所得を基に計算される。

全額を年金でもらうケースで社会保険料の負担増は約100万円。
一方、一時金で受け取る退職金に社会保険料はかからない。

「国民健康保険料などの計算から退職所得は除外する」(社会保険労務士の小野猛氏)からだ。

この結果、税金と合わせた負担は全額年金のほうが約340万円も重くなる。

半額ずつもらうケースでは、税・社会保険料の増え方が全額年金より抑えられるが、やはり手取りは全額一時金に負ける。

「税金だけでなく社会保険料の差も意外に大きいことを知っておきたい」(深田氏)。

図にはないが、年金受取期間が15年と長い場合の試算結果にも触れておこう。

運用期間が伸びる効果により、額面ベースでは全額年金が6260万円全額一時金が5950万円と差は拡大する。

一方、手取りを見ると、順位が逆転するのは同じだが、首位の全額一時金と3位の全額年金との差は約100万円に縮む。

1年あたりの雑所得が小さくなり、税・社会保険料の負担をやや抑えられる。

利率と期間が左右

注意したいのは、条件により一時金と年金のどちらが有利か変わることだ。

「運用利率が高かったり、長い受取期間を選べたりすれば年金方式が手取りで有利になることもある」(小野氏)。

例えば、試算の前提を運用利率3%、期間15年とすると、年金方式がやや有利。

国民健康保険料が東京23区より高い大阪市を前提とすれば利率3%、期間15年でも一時金のほうが有利だ。

深田氏は「条件によるが、基本的には一時金の比率を多くするのがお勧め」という。

税・社会保険料負担は年々重くなる傾向にあり、今後も配偶者控除見直しによる税負担増や介護保険料の増加も考えられる。

手取り額の他にも留意すべき点はある(図C)。

「一時金でもらうとつい無駄遣いしがち。資金管理に自信が無ければ多少手取りで不利でも年金を選ぶべきだ」と中林氏はいう。

年金方式の場合、会社が運用する確定給付年金(DB)と自分で運用先を決める確定拠出年金(DC)と2種類ある点にも注意したい。

DBの場合、日本航空の破綻時のように給付額が減額されることがあるが、DCは制度上、減額はないことを覚えておこう。

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