2017.01.12

不動産のピークはいつなのか?

ご存知の通り、2020年の東京オリンピックの開催が決定して以来、東京の地価は非常に高い水準で上昇を続けております。

そんな中、お客様から、「東京五輪のあと、不動産価格は下がってしまうのではないか?」というご質問を頂くことが御座います。

しかし一方で不動産価格の本当のピークは東京五輪の後である、と予想される専門家も多くいることも事実です。

2015年7月に、国税庁から今年の相続税路線価が発表されました。

都道府県庁所在地の最高路線価の上昇地点は、前年の18都市から21都市へ増加した。

上昇率も非常に高く、東京で14.2%、名古屋で11.5%、大阪で10.1%、広島で10.2%と、10%を超える都市もあった。

東京は2020年にオリンピックを控えているため、特に高い伸び率を示しています。

地価のピーク時はいつか?

このように上昇し続けている地価であるが、一方でピーク時の売却を虎視眈々と狙っている投資家たちも存在します。

株やFX、不動産といった投資の世界は集団心理から形成されている部分もあります。

皆がこれ以上は上がらないだろうという不安が集中すると売りが殺到し、物件価格が一気に暴落し始めます。

現状ではオリンピックの手前の2018年頃が売り時なのではないかという投資家心理が多数を占めています。

そこで、今回はオリンピック以外の角度も含めてから、売り時のターゲットを考察してみようと思います。

2022年にワールドカップの可能性

ここ最近になって、2020年の東京オリンピックの後に、もう一つのビッグイベントが日本で開催される可能性が出てきた。

2022年のサッカーワールドカップです。

2022年のワールドカップ開催国はカタールに決定されていますが、ここに来て国際サッカー連盟(FIFA)に不正疑惑が浮上しています。

そこで、代替国として日本の名前が挙がってきたわけです。

仮に2022年に日本でワールドカップが開催されれば、オリンピック景気に引き続き、2022年まで好景気が続くことが予想されます。

そうすると、不動産価格のピークは2021年くらいになるのかもしれません。

しかしながら、日本は代替開催国の有力候補であるものの、2022年大会に立候補したアメリカ、オーストラリア、韓国に次ぐ4番人気です。

まずはカタールで開催できないことが確定したとしても、そこからこの4カヶ国のなかで誘致合戦に勝たなければ招致できません。

そうすると、2022年ワールドカップ日本開催説は、かなり未知数の予想と言えるでしょう。

世界一の街「東京」

ただ日本が候補に挙がっている理由は、インフラ整備が整っていることと、治安の良さの2点です。

この治安の良さは注目に値します。

2015年6月に英国の情報誌「MONOCLE(モノクル)」が発表した世界の都市の中で「もっとも住みやすい都市ランキング」を発表しています。

その中で、東京はなんと世界第1位を獲得したのです。

東京が選ばれた理由としては、「治安がよく良く静かである」ということです。

治安の良さは一朝一夕には成しえません。

例えば、日本の小学生が一人で電車に乗っている光景を見て治安の良さに驚く外国人もいるくらいだといいます。

このように、日本人にとって当たり前のことが世界一として認められ始めています。

■環境にも優しい街へ

また東京都では環境先進都市を目指した都市づくりビジョンを掲げています。

東京都は2002年より「建築物環境計画書制度」を定め、環境に配慮した建物の建築を推進しています。

計画書には、エネルギーの使用合理化、資源の適正利用、自然環境の保全、ヒートアイランド現象の緩和という4つの配慮項目についての評価が記載され、その概要が公表されます。

従来型の規制的な手法でなく、建築主自身が環境配慮の取り組みを指針に基づいて評価すること、都が広く社会に公表することなどにより、建築主の自主的な取り組みを促そうとしていますが、環境を配慮したビルは建築費負担が高くなり、事業者としては取り組みにくいです。

そのため、こういった施策は結果が出るまで浸透は難しいですが、改善し続けることはでき、いずれ世界的にも評価を得る取り組みとなるでしょう。

■懸念される海外情勢が懸念される

このように東京が、「治安が良く環境にも優しい街」へと発展していけば、世界的にもさらに認められる都市になるでしょう。

そうすればオリンピックのような一過性の景気に左右されない息の長い価値を生み出すことができるかもしれません。

一方で東京の不動産価値を決めるのは、もはや日本の事情だけではありません。

上海の株暴落やギリシャの債務問題が再燃すれば、海外投資家が一気に日本から引き揚げる可能性もあります。

このような事態になれば、2017年~2018年くらいと言われている日本の不動産のピークが早まる可能性すらあります。

かつてのサブプライムローン問題のように、海の向こうの出来事が日本の不動産市場に大打撃を与えるような事態も再来しかねません。

■海外事情も視野に入れてピークを判断

以上、今後も世界情勢に何も無ければ東京五輪前というのはピーク時を判断する一つの目安になる可能性は高いと言えます。しかし今は海外情勢が予断を許さない状況にあります。

いよいよ日本の事情国内だけではなく、海外の事情も視野に入れながらピーク時を見極めるステージに入ってきたようです。