2016.03.20

大きな負担となるタワーマンションの管理費

タワーマンションの管理費のカラクリ

みなさん、こんにちは。

今回は、人気の高いタワーマンションを投資対象として見たときに浮かび上がる管理費上昇のリスクについて、お話させて頂ければと思います。

そもそも、タワーマンションの修繕積立金は、どのようになっているのでしょうか。

神奈川県川崎市内で分譲されたあるタワーマンションの事例で考えてみましょう。

このマンションは階数で50階を超える超高層のタワーマンション。
各住戸の面積は55平方メートルから70平方メートル、価格は6000万円台から7000万円。
坪当たり単価300万円を超える高額物件です。

このタワーマンションの管理費は1平方メートル当たり216円。
修繕積立金は同87円です。

70平方メートルの住戸で戸当たりの負担額は管理費が1万5000円、修繕積立金が6000円。
月額合計が2万1000円ということになります。

ローンの支払いはきついものの、月々の管理費は駐車場使用料もあわせて約4万円程度。
なんとかなる範囲の方もいるでしょう。

ところが、これにはちょっとしたカラクリがありました。

修繕積立金は築年数の経過とともに自動的に上昇していく仕組みとなっていたのでした。

スタート時点で87円だった1平方メートル当たり単価は5年後に2.5倍の217円、10年後347円、15年後には420円。

当初設定金額の4.8倍です。

70平米の住戸で6090円だった修繕積立金が2万9400円にまで跳ね上がることになります。

管理費、駐車場使用料とあわせて15年後には6万円を超える負担があらかじめ決定されているのです。

販売をするデベロッパーの立場からすれば、販売時点で高額の修繕積立金を徴収することを説明すると多くの顧客が逃げてしまうことがわかっているので、あえて階段を設けて初期の負担が小さいように見せているのです。

管理費が跳ね上がってしまう仕組み

では、どうしてタワーマンションの修繕にはお金がかかるのでしょうか。

例えばエレベーター。
超高層建物だとエレベーターも高速で上昇する高性能のものが必要となります。

各住戸に給水するポンプも高さ200メートルにくみ上げるには高性能のものが必要となります。

最近では地震対策として非常用発電機なども設置していますが、これらは発電機自体が高額なうえに重油で作動するので重油の備蓄管理も必要となります。

こうした設備は、最初は完璧な装備であっても寿命は20年から30年で更新時期を迎えます。

高性能のうえに特注品も多い。
部品などの交換にも制約があります。

修繕費は必然として高額となります。

設備更新時には、一般のマンションではありえないほどの高額の費用負担となることが予想されます。

外壁工事も普通のマンションとはケタ違いにお金がかかります。

通常であればタイル壁のマンションは戸当たり80万円から100万円程度の負担ですが、タワーマンションはそもそも足場を組むことができません。

屋上からぶら下げるゴンドラなどでの作業となりますが、ゴンドラは小さくて作業効率が悪いうえに、高層部を中心に風、雨などの気象条件の影響を受けやすく、通常のマンションの工事に比べ工期が3倍以上かかるともいわれています。

その結果、工事費は本格的な修繕ともなれば通常のマンションの数倍もかかるというようなことになるのです。

タワーマンション自体がまだ工法が確立されていない部分もあり、ゼネコン各社が試行錯誤のなかで建設されてきた経緯もあります。

さらに震災等の影響で防災等の装備も新たに付け加えられています。

これらの設備にも当然維持管理のための新たな費用がかかります。

大規模修繕を実際に行ったマンションの事例がまだほとんど存在しないことから、実際に現在徴収されている積立金で修繕費が賄える保証はどこにもないのです。

タワーマンションのオーナーという肩書きは確かに魅力的かもしれませんが、長期的な目で見たときに、一体どれだけの額の修繕費が掛かるか分からない、という恐ろしさがあり、将来の為の資産形成には不向きであるかもしれませんね。

失敗しない不動産投資を始めるためには、大規模修繕、いわゆる突発的出費のリスクをいかに回避するかも大変重要になって参ります。

ご興味がございましたら、是非一度お気軽にお問い合わせ下さいませ。