2016.03.11

南向き神話の崩壊

古来より、日本の住宅は南向きが好まれてきました。

南向き以外が嫌われて来たのには
日本独自の風土の影響にあるかもしれません。

高温多湿の日本に住む人々には
昔からカビとの闘いを強いられてきた記憶があります。

そこで、カビの嫌う日差しが差し込む住宅こそが理想的でした。

北向きはカビだらけとなり、健康被害が発生しやすい。と嫌われ、疎まれてきました。

特に、マンションなどの集合住宅は窓数がすくないので
より一層南向きが好まれてきました。

その影響は、商品開発にも影響を及ぼす程で
「北側には住戸を設けない」という事例までありました。

ところが、その頃、南向きを購入し住み続けた人々が
もう南向きは懲り懲りだと仰っているそうなのです。

なぜでしょうか。

それはマンションだと目を遮るものがなく
日当たりが良すぎることが原因だそうです。

昨今の夏は、毎年のように猛暑日記録更新のニュースがテレビで流れ
異常気象により夏の暑さが激しさを増しています。

人口が多い東京は、夏場にエアコンから熱風がでて
なかなかエアコンが効かず、熱帯夜に悩まされる人も少なく無いそうです。

また、最近のマンションの進化しすぎた断熱構造により、冬場に暖房をつける人も少ないそうです。

年間日照時間においては、気象庁のホームページによると
年間日照時間2000時間を超える都道府県は全国で19にも昇り
2014年度の東京都に置いては、2104時間となり
2006年の1587.8時間と比較すると年々その日照時間が多くなっています。

これに対して、北向きや東向きは、夏の暑さを抑えられ
通常の生活が叶うので人気が多く、先に北向き、東向きの入居が決まる事が多いようです。

一方で、カビの問題はどうなのか。

今は24時間換気装置というシステムが備わっているので
北向きであってもカビの心配はないのが現状です。

もう、南向きに執着する理由がなくなりつつあるのです。

北向き住戸でも、反射光で室内は意外に明るく
窓から見える景色は順光でみやすいと言われています(南向きだと逆光となります)。

このような事から、特に東京、神奈川圏において北向き住戸の評価が高まっています。

一度でも、東京、神奈川のマンションの南向き住戸に住んだことがある人は
夏の暑さを知っているので、南向き以外に飛びついてしまうようです。

夏の暑さが原因で「南向き以外を希望」の傾向が出ているなら
これもまた、地球温暖化の影響のひとつと言えそうです。