2015.02.11

アベノミクスと資産インフレ そしてr>g

今回は、トマ・ピケティによる「21世紀の資本論」を取り上げた3回目です。

いつの時代でも、資本による収益率(r)が、勤労による所得(g)を上回っていた、という衝撃的かつ分かりやすい結論になる、トマ・ピケティの「r>g」。

これをテーマに、雑誌プレジデント(2015年3月15日号)の中で、経済評論家(投資ファンド会社を経てコンサルティング会社を設立)でもある加賀谷珪一さんという方が、次のような計算をした、と言う記事が書いてあります。

『ピケティはマクロ経済のデータから資産の収益率を計算しているが、筆者も独自に、過去100年間の日本における株式や債券の利回りや値上がり率などから簡易的に資産の収益率を計算してみた。

得られた結論はピケティと同じで、いつの時代においても、所得の伸びを資産の収益率が上回っており、唯一の例外はバブル崩壊後の失われた20年だけであった。

デフレ下の日本は、幸か不幸かそれほど格差が拡大しなかった時代だったことがわかる(現在、日本で進んでいる格差拡大は、貧困率の増加に代表されるように、どちらかというと、下方向への拡大である)。

だが今後、アベノミクスが成功して資産価格が上昇すれば、資産を持つ人とそうでない人の格差は一気に拡大してくはずだ』

バブル崩壊後の「失われた20年」というのは、確かに、「現金」を持っていれば勝手にモノの価格が下がっていく時代であり、また、ひたすら働きに働いていれば、そんなに所得の格差が目立たない時代でもありました。
(上記引用の中にもありますように、下方向への拡大はあるにはありますが)

しかし、今後は、アベノミクスによる「資産インフレ」誘導、それに伴う貨幣価値の下落、そして、それでも「年金」や「給料」は、『貨幣』で支給されるというどうにもできない現実、という構造と文脈の中で、果たして、「ただ一生懸命、勤労所得に集中していればいいのか?」という疑問が嫌でも生じてきます。

このまま、何もせずに手をこまねいていれば、日本の代表的な資産である「不動産」の資産インフレで得をするのは、円安によって日本の不動産を割引価格で購入できる海外の投資家のみ、ということになります。

今はまだ、現役でバリバリと働くことができ、多少のリスクやチャレンジを負うことができる我々の世代は、このような文脈の中で、どのように自分自身にレバレッジをかけ、自分自身の資産価値(r)の増大と、資産形成(r)に取り組んでいけばよいのでしょうか?

このあたりの部分は、ご縁のある方にはぜひお伝えしたい、と思っておりますので、ご興味のある方は私までお問い合わせくださいませ。