立地が良ければ半永久的にもつ?!
今回は「上野下アパートについて」書きたいと思います。
現存する最後の同潤会アパートとなります。
同潤会アパートとは、
大正12年9月1日に発生した関東大震災をきっかけに建てられました。
関東大震災は地震だけではなく、火災が拡大し、首都圏は甚大な被害を受けました。
その際に、諸外国から寄せられた義援金の一部を基金として
震災後の復興策としての住宅供給を目的に「財団法人同潤会」が設立されました。
当初は被災者用の仮設住宅などの建設をおこなっていましたが、
都市における集合住宅のあり方を探求し、各種の調査研究等をしながら住宅供給事業を行いました。
この同潤会が行なってきた中でも、大正15年から昭和9年までの間に誕生させた「同潤会アパート」は、今では当たり前の不燃の鉄筋コンクリート造による集合住宅の先進事例であるだけでなく、居住者への配慮が行き届いた設計となっていいて、設備の充実度やデザイン性の高さなどで今も高い評価をされている建物となります。
建物や設備の老朽化や安全面を考慮し、次々に建て替えが行われています。
「表参道ヒルズ」も建て替え例の一つです。
そして、現存する最後の同潤会アパート「上野下アパート」(昭和4年竣工→築81年!)の建て替え計画が決まりました。
面白いのが、その建て替え計画です。
地上4階建てだった建物を地上14階建ての鉄筋コンクリート造りの建物に建て替え、
総延べ床面積は約2,000㎡だったものを、4倍の約8,400㎡に、
住戸の専有面積も約15~39㎡だったものを約25~74㎡へと広げ、
そして、住宅戸数については71戸から128戸へと増やす予定だそうです。
128戸の内、52戸が事業協力者(上野下アパート時代の所有者)の住戸となり、
残りの76戸は新築マンションとして販売されます。
注目すべきは、
東京メトロ銀座線「稲荷町駅」徒歩1分、日本有数のターミナル駅であるJR「上野駅」徒歩8分という立地条件です。
今回の建て替えについては三菱地所レジデンスが事業協力者として選定されていますが
新築マンションとして販売するメリットを感じてもらえなければ
どこの業者からも協力を得られない可能性があります。
本当の長い目で見れば、今回の事例でもわかるように立地条件は特に重要だということがわかります。
今回のような事例は、物件の所有者は費用を抑えられたり
費用が全くかからない形で建て替えを行うことが出来ます。
お客様から、「この建物は何年くらいもつの?」というご質問をよく頂戴します。
現在、当社がご案内している物件は第三者の機関から75~90年はもつという評価をいただいていますが
立地条件をしっかりこだわれば、半永久的にもつという期待を持たせてくれる事例ではないでしょうか。