2013.12.05

笹子リスクと不動産投資3.0

2013年12月2日(月)の日経新聞の夕刊に
「笹子トンネル事故1年 遺族、癒えぬ悲しみ」
という記事が載っていました。

その中の記事を読むと
「点検、補修をしていれば防げたはずの事故で、中日本高速の責任は明白だ」
「老朽化対策を怠った、として中日本高速などに損害賠償を求め横浜地裁に提訴した」
ということが書いてあります。

また、奇しくも同日の日経新聞の夕刊では、一面で「防げインフラ劣化」というシリーズ連載が始まっています。
(これらの特集記事は、どちらかと申しますと「朽ちるインフラ対策」のための最新技術の小さな特集シリーズです。)

これらを見て感じるのは、全国の道路、橋など、膨大なインフラが老朽化しており、『笹子リスク』が各地に潜んでいる、ということです。

これはインフラ・クライシス問題、と呼ばれています。

これらのインフラリスクの意識の高まりや、2011年の3.11以降の耐震診断義務化の流れが加速してきた現状を見るにつけ
(以前からこのブログでは指摘してまいりましたが)
不動産投資は、大きな潮流の中では、間違いなくターニングポイントを迎えている、ということをひしひしと実感せざるを得ません。

バブル崩壊までの「土地神話を背景にした利殖商品(キャピタルゲイン商品)としての不動産投資」。(不動産投資1.0)

バブルの反動で、割安の中古物件を取得して、高利回りを狙う投資手法が流行した”失われた”20年(しかしながら、その一方で、耐震偽装問題や2000年問題など、建物の価値を問われる事件が数多く起きた20年でもあります。またこの20年間に、阪神淡路大震災や3.11の東北震災が起き、建物の安全性に対する意識がさらに高まりました)(不動産投資2.0)

そして、2011年の3月11日以降、建物の安全性に対する意識の高まり、タワーマンションから低層マンションへの人口移動。

加えて、昨年に起きた笹子トンネルの事件で一部が表面化してきたインフラクライシス問題。
上場企業も、敏捷性に優れた企業は、続々と耐震性の優れたビルへのオフィス移転を始めています。

このような変化を、私は「不動産投資3.0の時代」と呼んでいます。

これからの不動産投資は、「長寿命」で「高度な安全性」を満たす建物に対して投資をする時代になります。
また、そのような物件が、「賃借人」に選ばれる物件になります。

これから、人口が減っていくわけですから、間違いなく、「マーケットイン」の発想が求められてくるのです。
そしてその時代にニーズに合わせて、ニーズに合ったものに資金を回していくのが、投資家の社会的責任でもあります。

建築基準に不安のある(だからこそ安い)中古物件を所有して、その「利回り」のために賃借人の生命を危険に晒すような投資手法は終焉を迎える、ということです。

そのような「過去(の物件を延命させるため)」に投資をしても、お金は喜びません(増えません)。

その築古の物件のオーナーの出口戦略の対象になるだけであり、過去の物件を手放したオーナーは、その資金を持って、「未来(これからの物件)」に投資をすることでしょう。

これからは、真に社会に必要なインフラを提供する、そして、入居者にとって安全な住まいを提供する、という本来の投資家の在り方が求められるようになります。

「公(おおやけ=社会性)」を考える視点と「私(わたくし=利益追求)」を考えるという、2つの視点を合わせ持つことが時代の要請になってきているのです。

今までは、ひたすら「私」の視点ばかりが強調される時代でした。
賃借人の安全や建物の耐震性よりも、ひたすら「利回り」が強調されてきたからです。

しかしながら、マーケットの意識は少しずつ、折り返しを始めています。

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