2013.09.30

不動産投資における「短期的目標と長期的目標」について

年収と思考スパンの関係

最近、ベストセラーで話題の『スタンフォードの自分を変える教室』という本を読みました。

これは、人間の「意志力(WILL POWER)」をテーマに扱っている本です。

とても興味深く、私はこの本の影響で毎日瞑想を始めたのですが
「意志力」に関する研究が面白く感じましたので、他にも何冊か読んでみました。

その中の1冊『WILL POWER 意志力の科学』(インターシフト社刊 ロイ・バウマイスター著)という本の中に、面白い記述がありました。

下記のストーリーの「続き」を考えてみてください、というものです。

「ジョーはレストランでコーヒーを飲みながら考えていた。彼が考えていたのは、この先のことで・・・」

上記のストーリーの続きを、遊び感覚で簡単に考えてみてください。
もう1つ似たようなものがあります。

「目を覚ましたあと、ビルは将来のことを考え始めた。漠然と彼が思っていたのは、、、、」

このビルの物語を、アバウトなストーリーで構いませんので、ぜひ完成させてみてください、というものです。
(ぜひ5秒から10秒くらいで、適当なストーリーを思いついてみてください。)

さて、できましたでしょうか?

実はこれは、小説家やシナリオライターになりたい人のためのストーリーテリングのテストではなく、バーモント州バーリントンの治療センターの精神科医が、へロイン患者に対して行ったテストです。

そして、このテストは同時に、ヘロイン中毒患者だけでなく、中毒患者たちと同じ人口統計学的性質を持つ成人グループ(大学教育を受けておらず、年収が200万未満など)にも同じテストが行われました。

この時に、ヘロイン中毒患者が作った物語(コーヒーショップのジョーの続き)では、「たった1時間先」のことまでしか書かれていなかった、という結果が出ました。

同じテストを受けた成人グループは、だいたい「1週間先」のことが書かれていました。

同様に、「ビルの将来」についての物語ですが、成人グループはだいたい「4年~4年半先」のことを考え、中毒患者は9日先までしか考えられなかった、という結果が出ました。

実は依存症患者の時間的な視野が短くなることは、過去に何度も確認されている、とか。

そして、それはどうやら、ご年収が高くなればなるほど、思考スパンが長くなる、というある程度の相関関係もあるようなんですね。

人は自分自身の価値観に合った情報しか「見る」ことができない

このブログを読んでいるような意識の高い方は大丈夫だと思っておりますが
私も、お客様のご相談を受けさせて頂いておりますと、(その方のご年収に関係なく)
「とにかく目先」の「短期的視野」の「利益」しか「見えていない」方に時たまお会いすることがあります。

たとえば、不動産は5年で買い替えるような「車」とは違います。

本来は20年30年と長期スパンで所有するものです。

とかく「物件価格の安さ」だけにフォーカスして、築10年、20年または30年の物件を「安い」と思ってしまう人。

(実は初期費用や長期的な維持・管理コストは、中古の方が大きくなってしまうケースが多々あるのですが、、、)

不動産投資にも、「投資」寄りのものと「事業」寄りのものがあります。

不動産業界に精通していたり、不動産業界に対する「情熱」がそれほどないにも関わらず、「事業経営」の色が強い「1棟丸ごとの投資」を、あまりにも「お手軽思考」で考えてしまう人。

(1棟丸ごとの投資、というものは、不動産業界で「起業」をするようなものだ、ということの自覚が欠けていらっしゃる方が多いようです。
こちらはどちらかと申しますと、自分に自信のある高年収の方の中にもいらっしゃいます。)

世の中に氾濫している情報は、ほとんどが宣伝や広告です。

そして、人は、自分自身の価値観(フィルター)に合った情報しか「見る」ことができません。

そのため、まずは「情報を選別するフィルター」を整えないと、「勉強すればするほど」「情報を集めれば集めるほど」決断ができなくなってしまいます。

もし、「不動産投資」について、「正確なリスクを知りたい」「自分で全体像を判断できるようになりたい」とお悩みの方がいらっしゃいましたら、ぜひ私までご連絡くださいませ。