「ダブル高齢化」問題からマンション管理を考える
不動産投資の市況人生100年時代建造物の「1964年問題」
それは、日本の国全体が高齢化社会になっているだけでなく
「住まいや建物も一緒に年をとってしまう。
つまり、高経年の建物、マンションにおいて
様々な問題が生じている」
という社会現象のことです。
しかし、実はそれだけではありません。
私は個人的には、そこに「社会インフラ」の問題も加えて、「トリプル高齢化」問題というものを感じています。
数年前も、「朽ちるインフラ ~忍び寄るもうひとつの危機」という本が各メディアに取り上げられたことがありました。
私は知らなかったのですが、その本によると、2014年というのは
東京オリンピックが開催された1964年から数えて50年目になる、という問題意識を扱っています。
(※実はこの「1964年以降の建造物の問題」は、1999年の日経新聞でも取り上げられました。
それは、「1964年を境に、それ以後の建造物で劣化がかなり進んでいる」という問題です。
この「1964年問題」については、いずれまたブログに書いてみたいと思います。)
そのため、学校や橋、道路など、当時整備された社会資本が、いっせいに更新投資の時期を迎えているんですね。
(しかも40年~50年前の建築技術で建てられているわけです)
しかしながら、現状のままでは、老朽化した社会資本が損壊。
国民の生命と財産が危険にさらされる一方で、再生のための予算が今後50年間で
毎年8.1兆円という試算が出ているそうです。
現在の老朽化マンションの問題もこれと似ているものがあります。
建築技術や建物の耐震性、コンクリートの強度などは日進月歩で研究開発や技術革新が進んでいます。
たとえば、2011年8月14日の日経新聞によると
「世界最強のコンクリートの実用化が近づいてきた」という記事の中で
「コンクリート強度は10年ごとに2倍になっている」という記載があります。
私はこれを読んだ時、半導体の世界でよく言われる
「ムーアの法則(半導体の集積密度は18~24ヶ月で倍増する)」を思い出したのですが
半導体の進化スピードとまではいかなくても、建築技術や建材の研究開発も、日々、日進月歩で進化していたんですね。
マンションの「健康」を維持する計画がなかった時代
健康を維持しようとしたら、若いころから健康に気を配り、定期診断を受け、病気になっても早期治療、というのが基本になります。
病気を放置して、深刻な状況になってから治療しようとすれば
時間も費用も倍増してしまう上に、何よりも「後悔」という精神的なストレスがかかります。
建物も、定期的な診断をして、早めの対処をしていけば高額な医療費(修繕費)に悩まされることもありません。
でも、老朽化マンションと老朽化したインフラには、そもそもの「健康」を維持する計画や、健全な身体を維持していこう、という前提と発想が欠けていました。
(これは仕方のないことでもあったかとは思います。)
実は、2006年に日経新聞社が全国の築20年以上のマンション管理組合を対象に調査を実施したことがありました。
その結果は、築20年以上のマンションの修繕の関して、修繕積立金の不足が43%
そして、首都圏のマンションの6割が積立金の滞納問題を抱えている、という調査結果でした。
最近、中国のお客様から教えて頂いたのですが、基本的に中国のマンションには「修繕積立金」というものがないようです。
日本では、上記のような問題を受けて、2008年の6月より
国土交通省による「長期修繕計画標準様式作成ガイドライン」が策定されました。
それまでは、長期修繕計画をどのような様式に従って作成するのか?など、定まった様式がなかったのです。
また、平成23年4月には、国土交通省より
「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」が新たに策定されています。
「管理システム(賃貸管理と建物管理)の優劣」で全てが決まる
ただ、品質にムラがある、管理に差があり過ぎる、など
「直接目には見えない部分」を冷静に比較した時
果たして「安いものを選べば投資は成功する」という
中古PCや中古ソフト・中古本を買うようなロジックは成り立つのでしょうか?
(不動産は、ヤフーオークションやフリーマーケットなどで購入するような性質のものではないですからね、、、。)
よく昔から、「マンションは管理を買え」と言われてきました。
これは、不動産投資の世界でも同様です。
なぜならば、不動産投資の場合、証券やペーパー上の金融商品(バーチャル空間の投資商品)ではなく
現実に存在している「現物資産(建物)」に投資をするからです。
従いまして
「成功する不動産投資になるか?失敗する不動産投資になるか?」は
実は「物件の選択」で全てが決まるのではなく
「管理システム(賃貸管理と建物管理)の優劣」で全てが決まります。
なぜならば、買って終わり、の金融商品ではないからです。
こういった原理原則の重要性や、素朴な疑問に、セミナーや個別相談会ではお答えしています。
もしご関心のある方はお気軽にお声をおかけくださいませ。