2013.02.14

老後の終盤“老後”から“セカンドライフ”へ

リスクと事例人生100年時代

ある高齢者の実情

皆さん、こんにちは。
本日もシノケンハーモニーの不動産投資ブログをご覧いただきまして
ありがとうございます。

突然ですが、皆さんの老後に対するイメージはどの様なものを思い描いていますか?

・ご夫婦で好きな所に旅行に行く
・趣味に没頭する
・自由な時間を謳歌できる

など、お考えの方は多いのではないでしょうか。

今回は、私の近親者の実情をご紹介させていただきます。

7年前にご主人がお亡くなりになられ、子供は4人おりますが、それぞれに家庭があり
現在は一人暮らしの87歳の女性のケースです。

ご主人がお亡くなりになられた際に3000万円の現金と埼玉県某市に無借金のご自宅を残してくれていました。

しかし現在では、資産残高は450万円とご自宅という状況になっています。

何故、多額の現金が消えていたのか。
それは、子供たちが流用していたのです。

ご自宅の権利書も手元にはなく、息子が持って行ってしまったと言います。

息子からすると心配だからという事の様ですが、真相はわかりません。

女性は、今は自立しておりますが、多少の物忘れはあるようでして、経緯をうかがうも、『良く覚えていない』と言います。

要介護や要支援などの認定は受けておらず、認知症でもありませんが、加齢とともに物忘れをする様になる為、調理中、鍋を火にかけていることを忘れてしまうのを防止する為に、決してその場を離れない様に心がけているそうです。

そして、自分の意識がはっきりしているうちに、残り人生の過ごし方を考えたいとお聞きしていましたが、その方向性に影響を与える出来事がおこりました。

お一人になられてから、毎週末に様子を見に来てくれていた長男宅に2日間泊まった帰り際、お嫁さんから『血のつながりもないのに。』と言われてしまいした。

現役世代を生きている私達には、まだ先の話やドラマなどでありそうな話として済むようなことでも、高齢者の身には厳しい一言だったようです。

その、言葉をきっかけに今一度、自分の最後の過ごし方を、まだ意識がしっかりしているうちに考えたいと思ったといいます。 

「老人ホーム入居」という選択肢・・・お金があれば可能

そして老人ホームという選択肢にたどり着きました。

家族の元で気を使い続けながら余生を過ごす位なら、お金はかかりますがサービスを利用する方が気が楽だと判断されました。

ホームはご主人の眠るお寺の近くで探し、入所の為の説明を受け検討中との事です。

その女性は埼玉県に所在するいくつかのホームを検討・見学しておりますが、要介護認定を受けていない自立している状態では、入所ができない所も多々あるそうです。

実際に女性が説明を受けたホームでは、自立している方で入所金として400万円を預け入れ、毎月のお部屋代・管理費・食事代の合計で17万円程度。

それ以外に薬代・生活雑貨・その先で必要になるオムツ代などを考慮し、また、先の話として要支援や要介護などの認定を受けた場合には、追加の金額が加算され月の費用は23~25万円程度となるそうです。

都内などでは入所金が倍以上になるところも多くある様です。

対して受給している年金は2カ月分で23万円程度といいますから月11.5万円です。

月の費用の不足分は資産の取り崩しとなります。
今回は手元資金では足りない為、ご主人の残してくれた思い出の詰まった自宅を売却し充てる考えだといいます。

“老後”から“セカンドライフ”と呼ばれる長い時間を過ごすために

女性は今まで一人ですべての家事などこなしていたので
『こんなに全部やってもらえるなんて、ありがたい。』
と嬉しそうに話していましたが、私は、とても切ない気持ちになりました。

今回は、保有資産がありましたので、自ら人生の終末の過ごし方の選択肢が得られましたが、資産を有していなかったら、お嫁さんに何を言われても我慢し気を使いながら暮らすしかなかったのかも知れません。

これが現状、そしてもっと大変な思いをされている方やご家族は多いのだろうと思いました。

一昔前には、定年したら“老後”という時間を過ごしておりました。

現在では、寿命も延びて4人に1人は90歳まで生きる時代となり、“老後”から“セカンドライフ”と呼ばれる長い時間を過ごす様になりました。
定年直後は冒頭の様な趣味やレジャーなど好きな事に時間をかけられるでしょう。

しかし本当に考えなくてはいけないのは、今回のケースの様なその先の過ごし方なのです。

老いは地球上に生きるすべての者に平等に訪れます。現役世代を生き抜く私達では、なかなかイメージし難い事ですが、人生の3大支出の一つとなる≪老後資金≫の重要性に触れた出来事でした。