2019.04.01

「利回り狩り」から不動産投資を考えてみる

皆様こんにちは。

いつもシノケンハーモニーの不動産投資ニュースコラムをご覧いただきまして
ありがとうございます。

本日は2019年3月23日(土)の日経新聞の記事から、ピックアップしてみたいと思います。

REIT、「利回り狩り」で急上昇 低金利継続観測 海外マネー集中

不動産投資信託(REIT)相場がここに来て急上昇している。

REITの総合的な値動きを示す東証REIT指数は2年9カ月ぶりの高値圏で推移する。

世界的な金利低下傾向が今月に入り一段と強まるなか、「利回り狩り」に動く海外マネーがREITに集まっている。

上昇ピッチの速さから短期的な反動を警戒する声もある半面、長期では堅調な推移を見込む投資家はなお多い。

(中略)

「金利低下シナリオの確度が高まった」。

アセットマネジメントOneでREITを組み入れた投信を運用する伊藤昌哉氏は、20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果をそう受け止めた。

(中略)

海外勢が強気なのは、「低金利環境が継続する」(BNPパリバ・アセットマネジメントのヤン・ウィレム・ビス氏)とみるからだ。

日本の10年債利回りは年初からマイナスになる場面が目立ち、REITの分配金利回り(加重)との差は4%程度を保つ。

相場が上昇するなかで分配金を増やすREITが多いのも、国債との利回り格差が縮まらない要因だ。

(中略)

金利低下を後押しするのは世界の中央銀行だ。

3月に入り、欧州中央銀行(ECB)が利上げ時期の先送りを決定。

20日のFOMCでは19年の想定利上げ回数がゼロになった。

この流れで「海外勢の一部は日銀のさらなる緩和に期待している」(農中信託銀行の新海秀之氏)との見方もある。(中略)

利回りを求めて世界をさまようマネーの流れはとどまりそうにない。

急激な上昇は見込めずとも、来年度もREIT相場は底堅い。

需給に照らせば、そんなシナリオがみえてくる。

さて、「利回り狩り」という言葉を聞いたことがある人はあまりいないのではないでしょうか?

字面から、なんとなく、意味は分かるとは思うのですが、英語では、この「利回り狩り」のことを「イールドハント」と言います。

「イーサンハント」ではありません(笑)

イールドハントとは、「少しでも高い利回りを求めて、大規模なマネー経済のマネーが、世界中の投資先を探し回り、そこにお金が集中していくこと、を言います。

少しインターネットで調べてみると、

「世界的な金融緩和などにより、主要国の金利水準が大きく下がる中、投資家がマーケットにおいて取る行動(テーマ)の一つで、ある程度のリスクを許容して相対的に利回りが高い金融商品に投資するもの」

と書いてあります。

この数行はとても重要ですので、最低3回は世見直しをされることをお勧めします。
(3回読み直しましたでしょうか?)

つまり、イールドハントとは、「リスクを許容し、利回りを狙う行為」ということになります。

「利回り狩り」という言葉だけを聞けば、当然、(特に情報弱者と言われる人たちは)「高利回りのものが良い」「投資をするなら高利回りが良い」と単純に思うことでしょう。

そして、「高利回り案件」「高利回り物件」を探す、という行動に出るのです。

ただ、何事においても、「上には上がいる」というものであり、もし本当に、「リスクがなくて、利回りだけが高い」というものがあるのであれば、そんなものが、あなたの目の前に転がっているわけがありません。

その前に、とっくにプロが買い占めるはず、だからです。

また、2008年のリーマンショックに引き起こす元となったのが「サブプライムローン」ですが、これは、「サブプライム層(優良客(プライム層)よりも下位の層)」と呼ばれる層に対して貸付けをするローン商品が証券化され、世界中の投資家へ販売されたことにより、世界経済への影響が大きくなった、と言われています。

普通に考えれば、サブプライム層に対してのローンなわけですから、リスクが高い=金利を高く貸し付けをしなければリスクに見合わない、というのが当然です。

そのために、サブプライムローンが証券化された商品は、逆に言えば、みな「高利回り」だったのです。

そして、世界中のプロのファンドマネージャーは、競争社会に生きており、少しでも良い「利回り」を残さないと解約されてしまうため、リスクが高いと分かっているにも関わらず、「高利回り商品」を買うためのアクセルを緩められない、という状況にありました。

このような要因で起こるバブル現象を「リスクテイクバブル」と言います。

つまり、リスクが高いこと、を分かっていながら、止まれない、どっちが引き下がるまでブレーキを踏めない、という「高利回りのチキンレース」にいつの間にか参加することになってしまうのです。
そして、それらの影響もあり、

「2008年の世界的な金融危機以前の強欲なイールド・ハントは、投資不適格な債券なども投資対象でしたが、今日では過去の学習効果からか、単に利回りだけでなく、リスクも勘案するようになっており、近年では、株式と債券の商品性を併せ持つハイブリッド証券なども注目されています。」

という定義に変わってきているのが、今のイールドハントの定義です。

とは言え、やはり、私は、基本的には「イールドハント」とは、株式や証券、債券に対して使う戦略であり行為である、と思っています。

なぜならば、もし仮に、不動産の世界で「イールドハント」をやる、とするならば、昨年から話題になっているような「かぼちゃの馬車」のような「高利回り案件」に投資をすることも、また「善」となってしまいかねないから、です。

またよく仮想通貨の世界などでも、「HYIP(ハイプ)案件」という言葉があります。

ハイプの意味は、『High Yield Investment Program』の頭文字が由来です。

つまりは、『高利回り投資案件』です。

もし、イールドハントをそのまま実行する場合、このようなハイプ案件に、自らネギをしょって突っ込んでいくことになります。

私は良く、ご縁のあるお客様にお伝えをしているのですが、不動産投資の世界では、実は「利回り」という概念を外すことが重要なのです。

長くなりそうですので、興味のある方、カモになりたくない方は、ぜひ私の個別相談会でお会いしましょう。