2019.03.04

座席指定通勤の増加から見る人口動態と東京一極集中

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皆様こんにちは。

シノケンハーモニーの不動産投資ニュースコラムをご覧いただきまして
ありがとうございます。

本日は2019年3月2日(土)の日経新聞の記事から、ピックアップしてみたいと思います。

座席指定通勤、少し余裕 首都圏私鉄がサービス拡充

◎京王、朝の時間帯新設 東急は無料でWi―Fi

首都圏の私鉄各社が今冬から春のダイヤ改正で、有料の座席指定サービスを相次ぎ拡充している。

「痛勤」と呼ばれる満員電車の状況は徐々に緩和されているものの、路線によっては乗客が詰め込まれ身動きが取れないなどの状況は変わっていない。

追加料金を払ってもゆとりある通勤を求める消費者は一定数おり、各社は利用客の取り込みに動く。

(中略)

対応策として

京王電鉄は2月22日から、朝の時間帯に新宿行きの座席指定電車「京王ライナー」(指定料金400円)を新設した。

従来は夕方から夜に京王八王子や橋本へ向かう便しかなかった。
「乗客から朝の通勤時間帯にもほしいという声が多かった」(同社)ことに対応。

(中略)

平日は新宿に午前6~9時台に到着する計4本を運行する。

有料サービスが相次ぐ理由について、東海東京調査センターの金井健司アナリストは「座って通勤したい需要は一定数ある」と話す。

その上で「東京への人口集中で私鉄の足元の業績は堅調だが、投資家は本業の鉄道でさらなる成長を求めている」と分析。

各社が新たな収益源を求めて導入に動いているとみる。

まとめると

・多少お金を支払ってでも、「痛勤」から逃れたい、というニーズを消費は持っている

・首都圏の私鉄各社も利用客の取り込みに動いている。

・東京への一極集中で、依然として私鉄の足元の業績は堅調であるが、投資家は本業の鉄道での成長を求めている

ということになるでしょうか。

これをまた別の角度から言えば、

・消費者は、多少のお金を支払ってでも、「東京」へ通勤したい

・その「ゆとり」通勤のために「コスト」がかかるのであれば、それは負担する

ということになります。

突き詰めれば、

・通勤(痛勤)の痛みから、仮に解消される、と言われても、東京へ通勤することを辞めたくない

・東京で就業することにメリット・利点をどこかで感じているし、潜在的に分かっている

ということにもなるでしょう。

東京の魅力は何か?と言えば、例えば、ビジネスの場合で言えば、取引先や関係者、お客様、ターゲット、マーケット、ライバル社は、皆、東京に集中しています。

すると、自分だけ地方都市で起業して、そこから東京のお客様先に営業に行く、とか、
お客様フォローに行く、とか、新規取引先の拡大に行く、といった場合、そのコストが異常に高くなることを意味します。

一方で、例えば、「商圏」といったものを考える場合、人口密度が高いということは、仮に「半径500メートル圏内でAという広告を打つ」ということを考えた時に、その広告がリーチできる顧客層が、地方都市や郊外と比べて10倍も20倍も違う、ということを意味するのです。

これはいわゆる「商圏認知」のことであり、例えば、お店を開業するにしても同様で、純粋に、その商圏にいる人口密度に差があるならば、それは「ビジネスの優位性」や「新規開業に対する摩擦量」に関係してくることになります。

ライバル店が東京の好立地や一等地に出店して、利益を上げているのに、自分は郊外の徒歩20分30分の場所にお店を開店させても結果は見えている、と言えるでしょう。

このように、「東京の一極集中」という問題は、単に「エリア」や「人口の偏り」という問題なのではなく、そこで働く従業員にとっては、やはり年収が高い仕事は都市にあることから、「職」=「食」の問題であり、ビジネスで言えば、「競合優位性」や「ポジショニング」や「移動コスト」「人口密度」「商圏認知」の問題である、という認識が重要です。

不動産投資は、「自分が好きなエリアでやる」ことが重要なのではなく、「自分以外の第3者が知っていること」「共通認識があるエリアであること」「就業人口が集中している」「商圏認知」「人口密度が高いこと」などと言った、客観的な指標やマーケットセンスがより重要である、ということは覚えておきましょう。